焙煎度合いによる豆の違い

コーヒーチェリーというフルーツの種のことをコーヒーの生豆といいます。

このコーヒーの生豆を炒って熱を入れていく作業のことを焙煎と言い、この作業を通してコーヒー豆が出来上がります。

 

コーヒーの味を形成するのに焙煎はとても重要で、わずかな焼き方の違いで味もかわってきます。

 

簡単に味の違いを説明すると、浅煎りは元々のコーヒーチェリーに近い味わいになるので、フルーツのような酸味、甘み、その豆が持つフレーバー・個性が出やすくなります。

深煎りは長く熱を入れているので、ロースト感や苦味が強くなります。

ちなみに、焙煎したコーヒー豆が黒かったり茶色かったりする理由は、こげているのではなく、カラメル化・メイラード反応という糖分やタンパク質が熱によって変化したものになりす。

 

味としてはざっくりとこのような違いが出ますが、他にも変化することがあります。

一つは水分量です。

生豆の状態だと、水分量がとても多く熱を長く通すことに比例して豆から水分が多く抜けていきます。

なので、一般的には浅煎りの方が水分量が多く、深煎りは水分量が少なくなります。

 

この水分量の違いで何が変化するのかという事と、もう一つカフェインの量も焙煎によって変化するので、そちらについては次回お伝えしていきます。

ミル・グラインダーの大切さ

コーヒー豆を購入する際に、豆のまま購入される方はコーヒー豆を挽くミルやグラインダーをお持ちかと思いますが、このミル・グラインダーによってコーヒーの美味しさは大幅に変わってきます。

コーヒー関連の道具をこれから購入される方や、検討されている方はドリッパーやサーバー、ケトルはそこまで高いものを買わなくても良いと思いますが、コーヒー豆を挽くミル・グラインダーは多少良いものを購入することをオススメします。

コーヒー豆を挽く際に理想の状態としては、挽いた豆(粉)の粒度が均一である事と、微粉が少ないことです。

粒度の均一性がなく、粒が大きいものと小さいものが出る場合、同じ湯温、同じ時間でお湯に触れた場合、表面積の大きさの違いから、粒が大きいものは成分が抽出しきれない(未抽出)可能性が高く、粒が小さい場合は成分が多く出てしまう(過抽出)可能性が高くなります。

微粉も同じ原理で、細かい粉が多い場合、過抽出状態になりやすいことから雑味が出てしまう可能性があります。よって、できるだけ均一に挽くことができるミルやグラインダーを持っていた方が美味しいコーヒーを淹れることができます。

私自身、コーヒーに興味を持って家で淹れ始めた頃に使用していたミルは安価なものだったのですが、良い豆を買って淹れ方も色々と試してみたのですがお店で飲むコーヒーのようにはならず、ミルを良いものに変えてから格段に美味しくなったのを覚えています。

最近はクオリティの高いミル・グラインダーが多く出てきていますが、比較的安価で性能が良いものを以下にいくつか記載しておきます。

・PORLEX COFFEE GRINDER

・TIME MORE コーヒーミル

・WILFA コーヒーグラインダー

コーヒー豆の選び方 産地

コーヒー豆を選ぶ際に、どこの産地の豆を購入したらいいのかわからないという方はかなり多いのではないかと思います。産地は同じでも、前回記事にした品種やプロセス(コーヒーチェリーから焼く前の生豆の状態にするまでの工程)、焙煎度合い、グレード、エリア(農園)によって大きく味は変化するので、大枠での考え方にはなってしまいますが説明していきます。

エチオピアやケニア、ルワンダ、ブルンジ、ウガンダなどのアフリカ系のコーヒー豆は、華やかな香りやフルーツのような綺麗な酸味、ジューシーさが多くある傾向にあります。モカブレンドなどもこの部類です。

個人的な好みですが、そこまで深く焼かない方がフルーツ感や綺麗な酸味が出てきて相性が良いように思います。(深煎りでも香りが良いので、品のあるコーヒーになり美味しいです。)

ブラジルやコスタリカ、コロンビア、グァテマラ、などの中南米系のコーヒー豆は、アフリカ系程の華やかさはないものが多いですが、甘味が感じやすかったり、全体的なバランスが良かったりと、フルーツ感よりもチョコレートやキャラメルのようなフレーバーがあるように感じます。

個人的には、中煎り、中深入り、深煎りが相性が良いかと思います。ただ、グレードの高いコーヒー豆になってくると、比較的フルーティなポテンシャルを持つコーヒー豆も多いので、こちらは参考程度に考えて頂き、コーヒーショップであれば、お店の方に聞いて頂くのが早いかと思います。

コーヒー豆の選び方 品種②

前回、コーヒー豆の三大品種をざっくりと説明しましたが、今回はその中の2種類、ロブスタ種(カネフォラ種)とアラビカ種の説明をしていきます。

 

ロブスタ種

こちらは、主にブラジルやベトナム、インドネシアなどで多く生産されていて、標高の低い場所で育てられます。環境や病気にも強く育てやすいメリットがありますが、風味が弱く、苦味が強い、油分が多くオイリーな味わいとされていて、価格としては安価で取引されています。

ただ、最近ではこのロブスタ種もクオリティが上がってきていて、気候変動が大きい近年では注目されている品種です。

ハイクオリティのロブスタ種は、探してもなかなか買えないぐらい貴重なものではあるので、スーパーなどで販売されているロブスタ種は、上記のような特徴があると思って良いと思います。

ただ、安価だからと言ってコーヒー屋で使われていないかというとそうでもなく、苦味やボディ(コク:とろみ)を出したい時にブレンドなどで使用されたりします。

特にイタリア系のお店ではエスプレッソのブレンドに使用されることが多くあります。

 

アラビカ種

この品種が1番有名かもしれません。スーパーで販売されている豆のパッケージでも、マクドナルドやセブンイレブンなどのコンビニでも、アラビカ種100%と謳っているので、目にしたことがある人は多いかと思います。

ただし、アラビカ種の中にティピカ種、ブルボン種などたくさんの種類があるので、この辺りがややこしいですが大枠で見ると特徴は似ています。

生産地としては、現在ではコーヒーを生産している主な国のほとんどが生産しているのではないでしょうか。

標高が高いところで生産され、病気や環境の変化に敏感な品種なので、ロブスタ種と比べると栽培するのが比較的難しいです。

味わいとしては、風味が強く、爽やかで綺麗な酸味があり、ロブスタ種に比べると油分が少ないのですっきりした味わいになります。

世界で生産されているコーヒーの6割がアラビカ種と言われていますが、この中でのクオリティの差も大きくあります。

グレードが付けられていたりもしますが、書いてあったり書いてなかったり、見た目で判断するのも難しいと思うので、単純に価格で判断しても良いかと思います。(絶対ではありませんが)

 

ざっくりとした説明にはなりますが、産地が違っていても大枠このような特徴が味に出てきます。

 

アラビカ種の方が好きな方が多いかと思いますが、好みの問題にはなるので、苦味が好きで、コクがしっかりあるコーヒーが好きな方はロブスタ種、綺麗な酸味、バランスが取れた味わいが好きな方はアラビカ種を選んでみると良いかと思います。

特にこれからのロブスタ種はクオリティがもっと上がってくると思うので、楽しみなポイントではあります。

コーヒー豆の選び方 品種①

コーヒーの味を決める要素としてかなり大きいのはコーヒー豆です。

プロのバリスタが、とてもクオリティの低い豆を使って美味しく淹れられるかというと、マシにすることはできると思いますが、感動するほど美味しいコーヒーを淹れることはほとんど不可能だと思います。

 

逆にいうと、グレードが高く、上手な焙煎で作られたコーヒー豆を使えば、ある程度美味しいコーヒーは淹れられるかと思います。

 

ただ、コーヒー豆はとても種類が多く、パッケージには専門用語が書いてあったりして、どの豆を買って良いのかわからない方が多いかと思います。

 

ここでは、何回かに分けて、好みのコーヒー豆が選べるように豆の説明をしていきたいと思います。

 

はじめはコーヒーの品種から説明していきたいと思います。

コーヒーの品種は、年々増加していて、現在でも200種類以上あると言われているので全て把握することはなかなか難しいです。

 

コーヒー豆の三大品種と言われているものが以下の通りです。

ロブスタ種(カネフォラ種)アラビカ種リベリカ種

ただし、リベリカ種は世界で生産されているコーヒー豆の1%にも満たないもので、市場にもほとんど出回らないので覚えなくて良いかと思います。

 

他に有名なものだとゲイシャ種がありますが、これはとてもクオリティが高く高価なものになるので、普段使いには適していないかと思います。

味わいとしては、とてもクリーンで、果実をかじったようなジューシーさと綺麗な酸味、シロップのような甘みとなめらかさがあります。

高価な分とても美味しいので、目にしたら飲んでみても良いかもしれません。

 

コーヒー豆で購入する場合は、焙煎から最低1週間置いておくことをお勧めします。

1週間以内だと風味がかなり弱く感じます。

ゲイシャ種の中でのおすすめはパナマかエチオピアの産地のものです。

他のゲイシャ種ももちろん美味しいですが、特徴がわかりやすいかと思います。

 

次回は、三大品種のロブスタ種とアラビカ種について説明していきます。

ドリップコーヒーの抽出は落とし切らない方が良いのか?

ドリップコーヒーをする際に、最後まで落とし切った方が良いのか、落ちる直前で抽出をやめた方が良いのか。という質問をよく受けます。

 

お店に飲みに行っても、落とし切るところと落ち切る直前でやめるところとお店によって様々だと思います。

バリスタを目指してコーヒーの勉強をしていた時も、これはやった方が良い、やらなくて良い、とどちらの意見も聞いてきましたが、実際どちらが良いのか、自分なりの考えを書いていきたいと思います。

 

結論から言うと、その豆によります

なぜ最後まで落とし切らない方が良いと言われているかというと、抽出時に上に浮くガスの中に、えぐみや雑味が含まれるため、それをサーバーに落とさないという理由で落とし切らない方が良いと言われています。

 

コーヒーの抽出時間が長くなると、えぐみや雑味が出てくるので、抽出が長くなり過ぎるのを防ぐために途中で切り上げて、お湯で濃度を調整する方法もありますが、そこは今後に詳しく書いていきます。

 

最近よく聞くようになったという方もいらっしゃるかと思いますが、スペシルティコーヒーと言われるようなクオリティの高い豆を使用した場合は、落とし切ったとしてもほとんどえぐみや雑味は感じません。

試しに最後の数滴だけ別のカップに落として飲んだこともありますが、嫌な味は感じられませんでした。

 

個人的には浅煎りよりも深煎り寄りの方が後半えぐみや雑味が出やすいかと思う(全く同じ豆での検証はしたことがありません)ので、少し値段が高い豆を使用する場合と、焼き具合が浅めの豆を使用する場合は落とし切って良いと思います。

 

普段飲んでいる豆がどうなのか気になる場合は、どちらも飲んでみたり、最後の数滴だけ取って飲んでみてもいいかもしれません。

焙煎日について

「コーヒー豆を焙煎したばかりの方が鮮度が良くて美味しい」という方もいますが、個人的には焙煎してからどれぐらい日数が経ったのかというのは味に直結するかなり大事なポイントだと思っています。

 

一般的に焙煎から置いておく期間のことをエイジングといいます。

エイジングの日数は、焼き具合によっても変わりますが、浅煎り〜中浅煎り程度で10~14日程度、中深煎り〜深煎り程度で5はあった方が良いかと思います。

スペシャルティコーヒー専門店のお店によっては、3週間目からお店で出しているというのも聞いたことがあります。

 

なぜ焙煎したばかりのコーヒーよりエイジングをした方が良いのかという理由としては、焼いたばかりのコーヒー豆には、焙煎時に発生する「ガス」が多く含まれます。

このガスを吸った状態で抽出をするとガスが邪魔をして、味が出にくい、香りがわかりにくい、ロースト臭や嫌な苦味が感じる、舌にピリピリ感が出たり、スパイス感を感じたりするということが起きます。

 

そこからガスが抜けていくと、味がクリアになっていき、尖った苦味や香りが抜けて甘味が感じやすくなったり、その豆本来の味が分かりやすくなったりしていきます。

 

なかなか家庭で焙煎日の管理をするのは大変かと思いますが、お店でコーヒー豆を買う際などに、その豆はいつが1番美味しいのか聞いて試してみても面白いかもしれません。

コーヒー豆の蒸らしのレシピ2

前回、蒸らしのポイントと、使用するお湯の量について書いていきました。

基本的には使用するコーヒー豆の2倍のお湯を使うと良いとお伝えしました。

このレシピで良いと思いますが、コーヒー屋によってはそれ以上のお湯を蒸らしの段階で大量に注いでいる場所もあります。

お湯を大量に注ぐとどうなるかというと、味が出にくい状態で落ちるお湯が多くなってしまうので、できたコーヒーの味が薄くなってしまう可能性があります。

そうなると、そのコーヒー屋は間違ってるのではないかと考えるかと思いますがそうでもないのです。

 

少し話はずれますが、コーヒーを濃く抽出して、最後に加水する「バイパステクニック」という方法があります。加水することを前提に作られたレシピであれば、はじめに多くのお湯が入っても美味しくい抽出することができます。

浅煎りの場合は、お湯がいきわたりにくい(水分量が多く空隙率が低いため)ため、あえてこの方法をとる事で、全体をしっかりと蒸らせるというメリットがあります。他にも、蒸らしのお湯を注いでからスプーンで混ぜるという方法もありますが、こちらもしっかりと味を出しやすくするという点では良い方法だと思います。ただし、やるとしたら浅煎りの場合のみ行うのが良いと思います。

 

【蒸らし時間について】

蒸らす時間は、30~40秒あたりをオススメします。

時間が短くなると酸味が強くなるといわれますが、おそらくこれは、ガスの放出が少なく味が出やすい状態になっていないことと、全体的な抽出時間が早くなることで未抽出状態になるからではないかと思います。

逆に抽出時間を長くした場合は、苦みが強くなるといわれていますが、これは最終的な抽出時間が長くなることによって過抽出よりになるからではないかと思います。苦みを強くした場合、多少蒸らしでコントロールするのは良いと思いますが、蒸らしの状態で長く置いておくと豆の表面温度が下がってしまうので、別のところでレシピを調整する方が良いかと思います。

焙煎したての豆の場合、ガスが豆の中にかなり多くある状態なので、ガス抜きのために日を置くことをオススメしますが、どうしてもの場合は蒸らし時間を長くしてガスを多く放出させるという方法もあります。多少は味も出やすくなるかと思います。

 

あまり考えすぎると難しくなると思うので、

「使用するコーヒー豆の2倍のお湯を使って、30秒蒸らす」

という方法で良いと思います。

コーヒー豆の蒸らしのレシピ

前回、コーヒー豆を蒸らす理由書きましたが、今回は具体的にどれぐらいのお湯を使用すればいいのかという話をしていきたいと思います。

まず、ハンドドリップにおいて蒸らしを始めていく場合、お湯ができるだけ均一にいきわたるようにフィルター内にあるコーヒー豆を平らになるように均しておいてください。

 

ここにお湯を注いでいくのですが、注ぐ際の注意点としては、

①高い位置から注ぎすぎない(粉が飛び散ったり、深煎りの場合、えぐみや雑味が出やすくなります)

②全体にまんべんなくお湯がいきわたるように

③ケトルから一気にお湯を出さない、コーヒー豆の上に乗せるイメージでそっと注ぐ

こちらの3点です。

全体にお湯がいきわたるようにすることと、乱暴にしないという点を気を付けていただければと思います。

 

【お湯の量について】

コーヒー豆が、お湯を吸収できる量として、使う豆の約2.1倍といわれたりします。

ただし、浅煎りの場合は豆の水分量が多かったり、深煎りの場合は水分量が少なかったり、豆によっても条件は変わってきます。

なので、基本的には使用するコーヒー豆の2倍のお湯を蒸らしに使用すると考えていいと思います。

15gのコーヒー豆を使用する場合は30gのお湯で蒸らしをする)

 

次回ももう少し蒸らしについて書いていきたいと思います。

コーヒー豆の蒸らしをする理由

ハンドドリップなどでコーヒーを淹れる際に、はじめにお湯を少しかけて豆を膨らませる作業がありますが、これを蒸らしと言います。

お茶で言う茶葉を開くという作業です。

 

蒸らしをする理由としては大きく分けて以下の2点です。

 

ガスを抜いて豆の成分を出しやすくする。

豆にお湯を馴染ませる。

 

これらは、味がしっかりと出るようにするために大切な事です。

蒸らしをしない状態で抽出を始めた場合、薄いコーヒーになるかと思います。

のガスというのは、焙煎と言われるコーヒー豆を焼く工程で二酸化炭素が多く豆に含まれますがこれのことを指します。

ガスが残ったままになると、うまくコーヒー豆とお湯が馴染まずに味が出にくくなったり、舌に残るピリピリ感やえぐみを一緒に抽出してしまう可能性があります。

 

逆に、蒸らしている時に豆が全く膨らまない場合は、焙煎からの時間が経ち過ぎている可能性があります。

ガスが抜けているのは良いのですが、味や香りが抜けていたり、酸化している可能性もあるので良い状態とは言えません。

浅煎りの場合は、もともと豆に水分量が多くガスが入る隙間が少ないので、焙煎したてでも膨らみづらいです。

 

では、実際どれぐらいのお湯を使って、何度のお湯で、何秒ほど蒸らすのが良いのかというレシピの部分は次回書いていきたいと思います。