深煎りの特徴を生かしたコーヒーを淹れる際のコツ②

前回、深煎りの特徴として、以下の事を説明しました。

①苦味のポテンシャルがある

②成分が出やすい

③油分が出やすい

④酸化が早い

⑤エイジング期間が早い(焙煎してから置いておく期間、ガス抜き期間)

⑥ドリップ時お湯の抜けが比較的早い

[特徴から考える淹れ方]

焙煎日から1週間程度が適正

湯温を上げすぎない

置くようにお湯を注ぐ

抽出時間は短くしない

挽き目は粗過ぎず細か過ぎず

ドリッパーは抜けが早いタイプは避ける

今回は、この淹れ方をもう少し具体的に書いていきたいと思います。

ここで書いていく事は、これが正解でこれ以外は間違ってるという訳ではなく、コーヒー豆によって変わる事があったり、出したい味によって変わる事はあるので、その辺りはご理解いただければと思います。

ただ、これをベースにしていただければ適正な焙煎がされていて、ある程度コーヒー豆の挽き目が均一で、全体にお湯が注げていれば変な味にはならないかと思います。

[具体的な内容]

①焙煎日から1週間程度が適正

焙煎直後はガスがコーヒー豆に大量に含まれるため本来の味がしっかりと出ません。また、ガスにより嫌な苦味や舌に残るザラザラ感が出る可能性があります。どの焙煎機を使ったかによっても多少は前後しますが、本来のコーヒーの味と甘味が出てくるのが1週間前後になるかと思います。早くても焙煎から4日目、遅くても1ヶ月程度で飲むことをお勧めします。

②湯温を上げすぎない

深煎りの場合は成分出やすいので、高温にしてしまうと、苦味や酸味が尖ったり、雑味やえぐみなど嫌な味が出やすくなります。湯温を下げると甘さが感じやすくなるので、深煎りの場合は少し温度を下げて甘味を目立たせるイメージで丸みのある味にすることをお勧めします。

82~85度程度で良いかと思います。

少し物足りないと感じる方は、87~90度で淹れてみても良いと思います。

③置くようにお湯を注ぐ

温度の話と近いのですが、成分が出やすい関係で、撹拌するようにお湯を注いでしまうと雑味などが出てしまいます。なので、あまり高い位置から注がずになるべくコーヒー豆にケトルの先を近づけて、ゆっくり注ぐようにすることをお勧めします。細口じゃないケトルだと、注ぐ湯量が増えて撹拌されてしまうので、細口をお勧めします。

④抽出時間は短くしない

以前も説明しましたが、コーヒーの味は、酸味→甘味→苦味+雑味、えぐみ等、の順番でそれを感じる成分がお湯に溶け出していきます。抽出時間を短くすると、元々ポテンシャルがある苦味の部分が抽出されずに終わってしまうので、薄くて少し物足りない味になる可能性が高いです。なので、2:30~2:50程度を目安に抽出することをお勧めします。長くなりすぎると、雑味が多く出てしまうので気を付けてください。

⑤挽き目は粗過ぎず細か過ぎず

挽き目によって、ある程度抽出時間をコントロールできるのですが、粗すぎると抽出時間が早くなり、上記で記載した通りになってしまいます。逆に細かすぎると、深煎りは成分が出やすいのでより成分が多く出て、雑味などが出る原因となってしまいます。家で挽く場合は、標準(グラニュー糖と同じぐらい)で挽くことをお勧めします。

⑥ドリッパーは抜けが早いタイプは避ける

抜けが早いドリッパーは、フレーバーを出したい、すっきりした味にしたい場合には適してますが、深煎りは、しっかひとお湯に触れさせて、ボディ(コク、とろみ)を出す、甘みをだすということをお勧めします。

(参考)カリタウェーブ、カリタ3つ穴ドリッパー、メリタドリッパー、ペガサスドリッパー、コーノドリッパー、ケメックスetc…

深煎りの特徴を生かしたコーヒーを淹れる際のコツ①

深く焼いたコーヒー豆である深煎りと、そこまで火を入れていない浅煎りとでは、同じコーヒーでも味も淹れ方も異なります。

もちろん味の好みはあるので、正しい間違っているということはないのですが、深煎り、浅煎りとそれぞれ特徴があるので、それを生かした淹れ方を紹介していきたいと思います。

今回は深煎りです。

深煎りの特徴としては、

①苦味のポテンシャルがある

②成分が出やすい

③油分が出やすい

④酸化が早い

⑤エイジング期間が早い(焙煎してから置いておく期間、ガス抜き期間)

⑥ドリップ時お湯の抜けが比較的早い

ざっくりとこういった特徴があります。

①に関しては焙煎による味の変化で、②~⑥に関しては深く熱を入れたことによる細胞破壊と水分が抜けた事で豆の空隙率が高くなる事が原因となります。

これらのことを踏まえて考えると、

・エイジング期間が早い

・酸化が早い

→焙煎日から1週間程度が適正

・成分が出やすい

→湯温を上げすぎない

→置くようにお湯を注ぐ

・苦味のポテンシャルがある

→抽出時間は短くしない

・ドリップ時お湯の抜けが比較的早い

・成分が出やすい

→挽き目は粗過ぎず細か過ぎず

→ドリッパーは抜けが早いタイプは避ける

深煎りの特徴から、ざっくりとこのような事が考えられます。

具体的な条件などは、次回書いていきたいと思います。

アメリカンとアメリカーノの違いとは?②

前回の記事ではアメリカンについて説明しました。
今回はアメリカーノについてです。

アメリカーノもアメリカンと同様に薄いコーヒーと勘違いしている方が多いですが、アメリカーノの場合は薄いとは限りません。
レシピによっては薄くすることもできるので、薄くないと言い切ることもできないですが、どちらかというと濃いほうが多いかと思います。

まず、アメリカーノの作り方ですが、エスプレッソという20cc程度(レシピにもよる)のかなり濃いコーヒーにお湯や水を入れて作るものをアメリカーノと言います。

アメリカンではなく通常のドリップコーヒーなどと比べても、濃度は同じか少しアメリカーノの方が濃いぐらいになるかと思います。
濃度もそうですが、エスプレッソはコーヒーの油分が多く含まれるので、ボディ(コクやトロミ)が強くなり、口に入れた時の印象もアメリカンとは全く変わってくるかと思います。

なぜこんなにも名前が近いのかというと、まずアメリカでアメリカンと呼ばれるコーヒーが飲まれていたのがはじめで、その後第二次世界大戦中に、アメリカ兵がイタリアでアメリカンのようにエスプレッソにお湯を入れて飲んだのがアメリカーノの始まりだと言われています。
アメリカーノという言葉は、イタリア語でアメリカ人を意味します。

ここで使う豆は浅煎り、深煎りの決まりはないですが、一般的にはイタリアで使われているような深煎りのコーヒー豆を使ったアメリカーノが多いように思います。

ちなみに、アメリカーノ=ロングブラックという人もいますが、かなり似ているドリンクではありますが実際は若干違います。
この辺りはまた後々書いていこうと思います。

アメリカンとアメリカーノの違いとは?①

よくアメリカンとアメリカーノの違いを聞かれるので、今回と次回の投稿で説明していきたいと思います。

まず、アメリカンコーヒーですが、アメリカ式コーヒーという言葉の和製英語なので、海外では伝わりません。

昔アメリカでコーヒー豆が高価だった頃、コーヒー豆に対して大量のお湯を使って大量に作っていたことがありました。
これがコーヒーのファーストウェーブという話もあります。

薄いコーヒーという印象を持っている方が多いと思いますが、その認識で正しいと思います。
使うコーヒー豆も、浅煎りの酸味が強いコーヒーを使っていたことが多いようです。

現在では、喫茶店やチェーン店ではメニューで見ることはありますが、最近のスペシャルティコーヒー専門店のようなところでアメリカンを出しているところは無いのではないかと思います。

アメリカンを好きな方は、サードウェーブコーヒーと言われている、最近のコーヒー屋が出す浅煎りのフルーティーなコーヒーが好きなのではないかと思います。
逆にアメリカンが好きな方は、よく間違われるアメリカーノは好みではないかもしれません。
次回はそのアメリカーノについて書いていきたいと思います。

ドリッパーの形状によるお湯がカップに与える影響

ドリッパーは様々な形のものがありますが、今回はドリッパーによる抽出の違いではなく、ケトルから注いだ時のお湯の勢いついて説明していきます。

まず、普段個人的によく使用しているドリッパーの、ハリオV-60と、カリタのカリタウェーブを例に出して比べていきます。

同じ量のコーヒー豆を使用した場合、V-60の方はドリッパーの下の方にコーヒー豆が溜まります。
カリタウェーブの場合はドリッパーの形状的に比較的上の方までコーヒー豆が来る設計になっています。

このドリッパーの設計により、V-60の場合はお湯が高い位置から注がれ、カリタウェーブの場合はコーヒー豆に近い位置で置くようにお湯を注ぐことができます。

形がわからない方もいるかと思いますが、要するにドリッパーの縁が高いか低いかです。
縁が高いドリッパーの場合は、高くからお湯を注ぐ形になるので、ドリッパーの中のお湯が攪拌されやすくなります。撹拌されることにより、味が出やすくなるので、元々成分が出にくい浅煎りなどに向いています。
縁が低いドリッパーの場合は、低い位置からお湯を置くように注げるので、豆を撹拌させて抽出するというよりは、浸して成分を出していくというイメージです。
こちらは成分が出やすい深煎りが向いています。

ただし、どういう味を出したいかにもよるので、こういった豆の場合はこのドリッパーの方がいいという決まりがあるわけではありません。

お湯の落ち方は穴の大きさやリブの数でも変わってくるので、そのあたりは別の機会にお伝えします。

ハンドドリップコーヒーにおけるお湯の注ぎ方

ハンドドリップコーヒーを淹れる際に、どのようなケトルを使うのか、どのように注ぐのかでも味は変わってきます。

お湯を勢いよく注いだ場合は、コーヒー豆がドリッパーの中で撹拌される形になります。
これにより、味が出やすくなる反面、雑味やえぐみなど嫌な味も出やすくなります。
逆にゆっくり注いだ場合は、雑味やえぐみを抑えられますが、優しい味になりやすいです。

個人的にはコーヒー豆の煎り具合によって注ぎ方を変えることが多いです。
例えば、深煎りの場合は元々味が出やすい豆の構造になっているので、勢いよく注ぐと雑味やえぐみ、尖った苦味など嫌な味が出やすくなります。なので深煎りの場合はゆっくりと注ぎ、苦味や雑味を抑えて甘さを出すということをお勧めします。
浅煎りの場合は、味が出にくい構造になっているため、ある程度攪拌するように抽出した方がしっかりも味がでるのでお勧めです。
ただし、やり過ぎは雑味に繋がるので、浅煎りは比較的難しいです。

また、お湯の注ぎ方によって抽出時間も変わってきます。
勢いよく注ぐ、注ぐ回数を減らすと抽出時間は早くなります。
ゆっくり注ぐ、注ぐ回数を増やすと抽出時間は遅くなります。
抽出時間による味の変化は以前にもブログに書きましたが、早いほど酸味が強くなりやすく、遅くなるほど苦味が強くなりやすくなり、雑味も出る可能性があります。

コーヒーにおける雑味やえぐみについて

コーヒーを飲んだ際に、舌に残るざらざら感や、不快な苦味を感じることがあります。
何が雑味で、何がえぐみなのかわかりにくいかと思いますが、どちらもコーヒーに反映される要因が似ているので、雑味やえぐみを避ける方法を説明していきたいと思います。

まず、雑味というのは、本来のコーヒーの味を損なう嫌な苦味、酸味、渋みのことを言います。
えぐみというのは、肉や野菜を煮込んだ際に出る灰汁(アク)と同じもので、苦味に近いざらざらした舌に残る感じのことを言います。

これらの味が出る原因としては、以下の7つが主になります。

①焙煎日からの日数が早すぎる。(5日以上経過したものがオススメ)
➝コーヒー豆の中に含まれる二酸化炭素が原因で嫌な苦味や舌に残るざらざら感が出てきます。
②焙煎日からの日数が経ちすぎてる。(2カ月以上経過したもの)高温多湿、直射日光が当たる場所での管理。
➝酸化が原因でイガイガ感や嫌な酸味を感じることがあります。
③抽出時の温度が高すぎる。(熱湯は使用しない)
➝過抽出と言い、コーヒー豆から出る成分が出すぎてしまい、雑味やえぐみが出ます。
④抽出時間が長すぎる。(ハンドドリップで3分以上)
➝③と同様に過抽出状態になります。
⑤コーヒー豆の挽き目が細かすぎる。
➝③と同様に過抽出状態になります。
⑥抽出時に豆にストレスを与える。
➝お湯を高くから注いだりして、過剰に攪拌してしまうと雑味やえぐみが出てしまいます。
⑦焙煎の失敗、焼く前のコーヒー豆のクオリティが低い。
➝適正な焙煎ができていない、もしくは欠点豆と言われるものが多く含まれていたり、そもそも生豆のクオリティが低いということがあります。

以上

豆の状態の場合は改善することが難しいですが、抽出で改良できることもあるのでこちらを参考に試してみてください。
豆の状態が悪い場合は、早めに抽出を終わらせて、加水して濃度を調整すると軽減される場合があります。

マキアートとは何か?

前回、エスプレッソをご紹介しましたが、今回はエスプレッソと同じぐらい間違えて注文される方が多いドリンクのマキアートをご紹介していきます。

 

広く認識されているマキアートと付くドリンクはキャラメルマキアートではないでしょうか。

マキアートと聞くと、キャラメルマキアートのイメージから甘いドリンクだと思われる方が多いですが、一般的なマキアートは、エスプレッソに同量ほどのミルクを入れたドリンクになるので、サイズが小さくて結構苦いドリンクになります。

イメージ的にはかなりコーヒー感が強いカフェラテだと思っても良いと思います。

 

マキアートというのは、イタリア語でシミという意味があり、シミぐらいエスプレッソに少量のミルクが入ったドリンクをマキアートと呼んでいます。

ラテマキアートというものは、逆にミルクに対して少量のコーヒーであるエスプレッソを入れたドリンクとなります。

 

コーヒー感が強いので、エスプレッソ感を強く感じたい方にはオススメのドリンクです。

そのまま飲むのが一般的ではありますが、エスプレッソと同様に砂糖で甘さを足しても美味しく飲めるかと思います。

エスプレッソとは何か?

コーヒーメニューの中でエスプレッソというものがありますが、普通のコーヒーだと思って注文される方がかなり多いです。

 

エスプレッソというのは、イタリア発祥のエスプレッソマシンを使って、9気圧の圧力、90度、20cc程度抽出したコーヒーの事を言います。

レシピによって変わりますが、使うコーヒー豆に対しての抽出量がかなり少ないので、とても濃いコーヒーです。

 

ちなみに、『エスプレッソ』という名前の意味は、イタリア語で急行とか速いという意味です。

名前の通り、1回の抽出で2杯分、25秒程度で抽出出来ます。(レシピにもよりますが)

 

エスプレッソの飲み方ですが、イタリアでは大量に砂糖を入れてトロトロにしてスイーツ感覚で飲むのが一般的だそうです。

エスプレッソをお湯で割ったものがアメリカーノ、ロングブラック、ミルクを加えたものがラテやカプチーノ、チョコとミルクを入れたものがカフェモカと、他にも様々な使い方ができてアレンジしやすいのが特徴でもあります。

 

お店によって使っているコーヒー豆が違ったり、レシピが違ったり、お店によって全く味が変わるので興味のある方は色々なお店で飲んでみても面白いかもしれません。

焙煎機違いの適正な焙煎日について

焙煎をするのに使う焙煎機ですが、手網の小型タイプやサンプルロースターと言われる小型の機械や、ロースタリーなどにある大型の焙煎機など様々な種類があります。

また、焙煎機の中でも直接火を当てる直火式、熱風と直火で焙煎していく半熱風式、熱風で焙煎していく完全熱風式と種類があります。

 

今回は味の説明ではなく、この完全熱風式で焼いたコーヒー豆が、他の方法で焼いた豆と適正な焙煎日が違いそうだという件について書いていきます。

おそらくほとんどの豆が半熱風式になっているかと思いますが、気になる方は豆を購入している場所で聞いてみても良いかもしれません。

 

今まで個人的に一番コーヒー豆が美味しくなる時期として、浅煎りの場合焙煎日から14~25日程度、深煎りの場合7~14日程度で考えていました。

 

基本的にはこの日数から大きくズレることはないと考えていましたが、完全熱風式で焼いたコーヒー豆を淹れた際に上記の期間内の豆を使用したのですが、甘さが弱い、強いロースト臭、苦味が舌に残るという事が起き、まさに焙煎から日が浅い豆に感じられる味でした。

 

ここから調べたり知り合いのバリスタに話を聞いている中で、完全熱風式は適正な焙煎日が他の方法に比べて長くとったほうがいいという結論にいたりました。

 

豆にもよりますが、浅煎りの場合21~35日、深煎りの場合15~30日程度が良いのではないでしょうか。

 

マニアックな内容となりましたが、気になる方は同じレシピで焙煎日違いのコーヒー豆を飲み比べてみても面白いかもしれません。