コーヒー豆の蒸らしのレシピ2

前回、蒸らしのポイントと、使用するお湯の量について書いていきました。

基本的には使用するコーヒー豆の2倍のお湯を使うと良いとお伝えしました。

このレシピで良いと思いますが、コーヒー屋によってはそれ以上のお湯を蒸らしの段階で大量に注いでいる場所もあります。

お湯を大量に注ぐとどうなるかというと、味が出にくい状態で落ちるお湯が多くなってしまうので、できたコーヒーの味が薄くなってしまう可能性があります。

そうなると、そのコーヒー屋は間違ってるのではないかと考えるかと思いますがそうでもないのです。

 

少し話はずれますが、コーヒーを濃く抽出して、最後に加水する「バイパステクニック」という方法があります。加水することを前提に作られたレシピであれば、はじめに多くのお湯が入っても美味しくい抽出することができます。

浅煎りの場合は、お湯がいきわたりにくい(水分量が多く空隙率が低いため)ため、あえてこの方法をとる事で、全体をしっかりと蒸らせるというメリットがあります。他にも、蒸らしのお湯を注いでからスプーンで混ぜるという方法もありますが、こちらもしっかりと味を出しやすくするという点では良い方法だと思います。ただし、やるとしたら浅煎りの場合のみ行うのが良いと思います。

 

【蒸らし時間について】

蒸らす時間は、30~40秒あたりをオススメします。

時間が短くなると酸味が強くなるといわれますが、おそらくこれは、ガスの放出が少なく味が出やすい状態になっていないことと、全体的な抽出時間が早くなることで未抽出状態になるからではないかと思います。

逆に抽出時間を長くした場合は、苦みが強くなるといわれていますが、これは最終的な抽出時間が長くなることによって過抽出よりになるからではないかと思います。苦みを強くした場合、多少蒸らしでコントロールするのは良いと思いますが、蒸らしの状態で長く置いておくと豆の表面温度が下がってしまうので、別のところでレシピを調整する方が良いかと思います。

焙煎したての豆の場合、ガスが豆の中にかなり多くある状態なので、ガス抜きのために日を置くことをオススメしますが、どうしてもの場合は蒸らし時間を長くしてガスを多く放出させるという方法もあります。多少は味も出やすくなるかと思います。

 

あまり考えすぎると難しくなると思うので、

「使用するコーヒー豆の2倍のお湯を使って、30秒蒸らす」

という方法で良いと思います。

コーヒー豆の蒸らしのレシピ

前回、コーヒー豆を蒸らす理由書きましたが、今回は具体的にどれぐらいのお湯を使用すればいいのかという話をしていきたいと思います。

まず、ハンドドリップにおいて蒸らしを始めていく場合、お湯ができるだけ均一にいきわたるようにフィルター内にあるコーヒー豆を平らになるように均しておいてください。

 

ここにお湯を注いでいくのですが、注ぐ際の注意点としては、

①高い位置から注ぎすぎない(粉が飛び散ったり、深煎りの場合、えぐみや雑味が出やすくなります)

②全体にまんべんなくお湯がいきわたるように

③ケトルから一気にお湯を出さない、コーヒー豆の上に乗せるイメージでそっと注ぐ

こちらの3点です。

全体にお湯がいきわたるようにすることと、乱暴にしないという点を気を付けていただければと思います。

 

【お湯の量について】

コーヒー豆が、お湯を吸収できる量として、使う豆の約2.1倍といわれたりします。

ただし、浅煎りの場合は豆の水分量が多かったり、深煎りの場合は水分量が少なかったり、豆によっても条件は変わってきます。

なので、基本的には使用するコーヒー豆の2倍のお湯を蒸らしに使用すると考えていいと思います。

15gのコーヒー豆を使用する場合は30gのお湯で蒸らしをする)

 

次回ももう少し蒸らしについて書いていきたいと思います。

コーヒー豆の蒸らしをする理由

ハンドドリップなどでコーヒーを淹れる際に、はじめにお湯を少しかけて豆を膨らませる作業がありますが、これを蒸らしと言います。

お茶で言う茶葉を開くという作業です。

 

蒸らしをする理由としては大きく分けて以下の2点です。

 

ガスを抜いて豆の成分を出しやすくする。

豆にお湯を馴染ませる。

 

これらは、味がしっかりと出るようにするために大切な事です。

蒸らしをしない状態で抽出を始めた場合、薄いコーヒーになるかと思います。

のガスというのは、焙煎と言われるコーヒー豆を焼く工程で二酸化炭素が多く豆に含まれますがこれのことを指します。

ガスが残ったままになると、うまくコーヒー豆とお湯が馴染まずに味が出にくくなったり、舌に残るピリピリ感やえぐみを一緒に抽出してしまう可能性があります。

 

逆に、蒸らしている時に豆が全く膨らまない場合は、焙煎からの時間が経ち過ぎている可能性があります。

ガスが抜けているのは良いのですが、味や香りが抜けていたり、酸化している可能性もあるので良い状態とは言えません。

浅煎りの場合は、もともと豆に水分量が多くガスが入る隙間が少ないので、焙煎したてでも膨らみづらいです。

 

では、実際どれぐらいのお湯を使って、何度のお湯で、何秒ほど蒸らすのが良いのかというレシピの部分は次回書いていきたいと思います。

お湯の温度について

抽出する際に使うお湯の温度は味の変動要素の一つとなります。

 

温度が低すぎる場合、未抽出状態となり味が薄くなったり後味も軽くなったりします。

逆に温度が高すぎる場合、苦味や酸味が強く尖った味になったり、雑味やえぐみなど嫌な味も出てしまう可能性があります。

逆にポジティブな面で考えると、温度が低い場合、苦味や酸味が丸くなるので、甘みが感じやすくなったりします。

温度が高いと、フレーバーやアロマなどの香りが感じやすくなったりします。

 

使うコーヒー豆や抽出する方法、レシピによっても多少変わってきますが、89~94℃ほどで考えてみると良いと思います。

 

この温度の中でどこに合わせるかというところですが、コーヒー豆の焼き具合が浅い場合、豆に含まれる中の水分量が多く、空隙率が低く表面性が大きいため、成分が溶け出しにくいという理由から少し高めに設定します。

逆に深めのコーヒー豆を使用する場合は、豆に含まれる水分量が少なく、空隙率が高く表面積も大きいため、成分が溶けやすいという理由から低めに設定します。

 

まとめると以下のようになります。

 

【深煎り】

温度:89~91℃

理由:尖った苦味や雑味、えぐみが出過ぎないようにするため。苦味の中の甘さをしっかり感じられるよう低めに設定する。

 

【浅煎り】

温度:92~94℃

理由:個性やフレーバー、アロマなどの香りをしっかりと出したい、そもそも成分が出にくいので高めに設定する。

 

これを基準に考えていただければそんなにおかしな味にはならないと思います。

これでも濃過ぎる、薄過ぎるなどがあれば別の味の変動要素を変えてみることをお勧めします。

コーヒー豆の挽き方について

前回の抽出時間をコントロールする方法として、お湯の注ぎ方、使う豆の量などもありますが、挽き目(コーヒー豆を挽く細かさ、荒さ)を調節するという方法があります。
コーヒー豆の量は、使うお湯との比率でまた味が変わってくるので、基本的には挽き目で調整をして、注ぎ方で微調整をするというのが良いかと思います。

挽き目での変化は以下の通りになります。

挽き目が粗い(粉の粒が大きい)場合
・抽出時間が早くなる
・豆の成分が出にくくなる(表面積が小さくなるため)
→コーヒーの味と口当たりが軽くなる

挽き目が細かい(粉の粒が小さい)場合
・抽出時間が長くなる
・豆の成分が出やすくなる(表面積が大きくなるため)
→コーヒーの味が強くなる、コクが出る

細かくすればするほど抽出時間も伸びて味が強く出ますが、過剰に細かくして味を調整するのはあまりおすすめしません。
やり過ぎると、雑味やえぐみまで出てしまうので、その場合はコーヒー豆の量で調整する事をおすすめします。

わかりにくい場合は、石と砂で考えると、上から水を流した時に、どちらが早く下に落ちるか想像がしやすいかと思います。

抽出時間について

お湯を注ぎ始めてからお湯が落ち切るまでにかかる時間を抽出時間と言いますが、抽出時間もコーヒーの味の変動要素の一つとなります。

どんな方法で抽出しても基本的には同じで、コーヒーの豆にお湯が触れてから【抽出される味の順番】が大体決まっています。これは、お湯に溶け出す成分の順番が大体決まっているからです。

順番としては、【酸味→甘味→苦味→雑味やえぐみ】という順番です。
苦味は雑味やえぐみがお湯に溶けている際にも出続けていると言われています。

要するに、抽出時間が早いと酸味が強いコーヒーになりやすく、抽出時間が長いと苦味の強いコーヒーになりやすくなります。
一般的にハンドドリップで抽出するとなると、2分00秒~3分00秒が基準になるかと思いますので、はじめは2分30秒を目安に抽出してみると良いと思います。

エスプレッソやエアロプレスなど、圧力を使って抽出するものになると抽出時間は早くなりますが、味が出てくる順番は同じと考えて良いと思います。

コーヒー豆とお湯の量について

今回は、コーヒーの変動要素の中で、コーヒー豆の使用量とお湯の使用量についてお伝えしていきます。

これは、ブリュー率と言われるもので、コーヒー豆を1として、どれぐらいの比率のお湯を使うかということです。
絶対にこれが良いという比率はありませんが、おすすめを書いていきたいと思います。

まず、私の場合はコーヒー豆の焼き具合によってブリュー率を変えています。

深煎りと言われる、よく焼かれている、黒っぽいコーヒー豆の場合は、お湯を多く使用してしまうとボリュームがなくなり、単純に薄いコーヒーに感じてしまうかと思います。(アメリカンがお好きな方は多く使用しても良いかと思います。)
逆に、浅煎りと言われる、焼き具合が軽く、黄土色や明るい茶色いコーヒー豆を使用する場合は、少しお湯の量を多めにすると、その豆の特徴やフレーバーが引き立つのでおすすめです。

具体的にどれぐらいのお湯を使用するのか、深煎りと浅煎り別に書いていきたいと思います。

【深煎りの場合】
湯量:使うコーヒー豆の12~13倍のお湯を使用
20gのコーヒー豆を使用する場合、240~260mlのお湯を使用する。

深煎りの場合は、味のボリュームがしっかりとあった方が美味しいと感じる人が多いため、浅煎りの場合に比べてブリュー率は低めです。
12倍で抽出してもボリュームが足りない場合は、10~11倍を試してみても良いと思いますが、湯温が低かったりコーヒー豆の挽目が粗かったり、抽出時間が早い可能性もあります。

【浅煎りの場合】
湯量:使うコーヒー豆の15~16倍のお湯を使用
20gのコーヒー豆を使用する場合、300~320mlのお湯を使用する。

浅煎りの場合は、その豆の特徴やフレーバーをしっかりと出せる方が美味しいと思うので、比較的ブリュー率は高めです。
あまり濃く抽出すると、豆から出る成分が多くなり、より複雑な味と香りが形成されるため、フレーバーがわかりにくい、酸味の強いコーヒーになりがちです。

中煎りの場合は、14~15倍と若干浅煎りよりのレシピが私としては好きですが、全体的に好みもありますし、使うコーヒー豆や、他の変動要素によっても若干変わるところではありますので、参考程度にしていただければと思います。

コーヒーの変動要素について

コーヒーと一言で言ってもさまざまな抽出方法がありますが、今回お伝えすることはほとんど全ての抽出方法に通じる事です。
今回は全体的にざっくりとお伝えしますが、次回以降で細かい内容をお伝えしていきます。

前提として、コーヒーを淹れる技術も大切ですが、使うコーヒー豆がとても大切です。

生産国(農園)、品種、精選方法(プロセス)、焙煎、焙煎から経過した日数、コーヒー豆の管理方法等、コーヒーの味に影響するものはたくさんあります。
また、コーヒーはコーヒーチェリーというフルーツであり農作物なので、同じ農園で同じ品種のコーヒー豆を栽培していても、その年によってクオリティは変わります。
焙煎も、焙煎度合いによる味の変化もありますが、同じコーヒー豆を使用していても、どういう味にしたいという焙煎士や企業の想いによって焙煎のやり方も変わってくるので、同じ農園の同じ精選方法で同じ程度の焙煎度合いだとしても、お店によって味は変わってくるでしょう。
精選方法はあまり聞き慣れない言葉かと思いますが、この辺りは今後少しずつ説明していきます。

個人的には、コーヒーの味を決める要素として、『どのコーヒー豆を使うか』が70%ほど影響するように思います。
どれだけ腕の良いバリスタが淹れるとしても、クオリティの低いコーヒー豆を使うとなると、味をマシにすることは出来たとしても、大半の人がとても美味しいと感じるコーヒーを淹れることは難しいでしょう。

次に、コーヒーを淹れる際の味の変動要素です。

①コーヒー豆の量
→厳密には、使うお湯とコーヒー豆の比率です。ブリュー率と言いますが、これによりコーヒーの濃度(味の強さ)が変わります。

②コーヒー豆の挽き目
→味の強さに影響します。抽出方法によっては抽出時間にも影響します。また、挽いた豆の粒度の均一性がとても大切です。均一であるほど綺麗な味が出ます。

③お湯の温度
→総体的な味の強さに関係します。また、使うお湯(水)の硬度によっても味に影響します。

④抽出時間
→味(苦味、酸味、甘味、えぐみや雑味等)や濃度と影響します。

⑤コーヒー豆の蒸らし
→味の出方に影響します。

一つ一つ説明すると長くなるので、詳細は次回以降で説明していきます。
以前のブログ「美味しい珈琲を淹れるコツ」でも書いていますが、もう少し細かい内容を今後書いていきたいと思います。

珈琲講座

埼玉県越谷市せんげん台のピアノカフェ美時音(ビジョン)様でお店の一角をお借りして珈琲講座を開催致しました。
今回のテーマは珈琲豆の違いによる味の変化を感じて頂く内容です。
珈琲豆は3種類をご用意しました。
クセが少なく飲みやすいコロンビアスプレモ
芳醇な香りとフルーティーな酸味のモカイリガチャフィ
軽やかな甘味とナッツテイストのボディが絶妙な立体感を醸し出すスペシャリティブレンド
皆さんにはカップテストの要領でテイスティングをして頂きました。ひと括りに珈琲と言っても味は様々なので、皆さん自分の好みに合った珈琲を発見して頂けたようで何よりです。
珈琲講座のあとは美時音さんのご厚意でミニスパゲッティを頂きました。このミートソースが挽肉が主役のまさに『ミート』ソースな絶品でごさいました。
美時音様には沢山のご配慮を戴いた事、この場をお借りして感謝申し上げます。

珈琲の道具

私が揃えているコーヒーの道具はハンドドリップ方式(濾過方式)なのですが、その中でもメリタ式というひとつ穴タイプを好んで使っています。穴が小さいので当然液が落ちるのも時間が掛かります。上にはお湯がどんどん溜まっていきますので実はメリタ式は濾過方式でありながら浸漬方式でもあるのです。そのメリットは珈琲豆を漬け込むので旨味を全て引き出せる事です。これはサイフォンやフレンチプレスも同じですね。そして主に濾過方式なのでコーヒー液のエグ味が出てしまう上層部の泡部分は簡単に分ける事が出来るのです。

珈琲の味や飲み方にはそれぞれ好みがありますので一概にこれが正解という事はありません。でも、これを調理に置き換えると、どのように扱うかで味は変化しますので、そのやり方は知っている方が役に立つ事もあります。